突然の停車から約30分後、待ちに待った車内アナウンスが流れた。

〈・・・――三春駅付近の踏切りで人身事故が発生しました。もう暫くお待ち下さい──・・・〉


事故か。
人身事故だと、まだ動かないな・・・

外を見飽きた私は、ため息を吐きながら愛美に話し掛ける。

「ねえ愛――」

愛美の方を向いた私は驚いて声を失った。
満員電車の中で、愛美が声を圧し殺して泣いていたのだ。


「ど、どうしたの?!」

愛美はスマートフォンの画面を見せながら、目に涙を溜めて応える。

「花音の彼氏が死んじゃったよ・・・」

「はあ?」

意味が分からない。
ケータイ小説読んで泣くなんて・・・
バカらしい。


愛美は、「同世代が作者だから共感できるんだよ」と言っていたけど・・・素人が書いた小説とか面白いと思えない。

まあ時間がある時に、愛美のお薦め作品を読んでみても良いけどさ。