安楽死


私は病院の建物に入ると、まず愛美の病室に行った。最後の確認を、愛美にしてもらう為だ。

エレベーターで病棟に上がり、愛美の病室の扉を叩くと、返事も待たず病室の扉を開ける。

愛美は私の方を見たまま固まった。

「そ、そんなに慌てて、どうしたの?」

「分かったのよ・・・
愛美をこんな目に遭わせた犯人が!!」

「え、ホントに?」

私は真剣な表情で愛美の目を見詰め、コクリと大きく頷く。そして、鞄からあの時計を取り出し、そのアラームを鳴らした。


病室に流れるメロディに、愛美の表情が明らかに険しく変わる。

「こ、この曲──・・・」

「あの踏切りで愛美が聞いたのは、この曲でしょ?」

私が顔を覗き込むと、愛美が首を縦に振った。


それを確認すると、私は愛美の病室を飛び出す。次に目指す場所は、岸本がいるであろう5階の病室だ!!