安楽死


ここから病院までは、歩くと30分以上かかる。確かに、この距離を毎日通うには自転車が必要だ。

三春駅まで走ると、10分程で着いた。

「まだ、三春駅・・・」

でも、もう見えないモノに怯えながら遠回りする必要はない。私は迷わず右に曲がり、近道である踏切りに向かう。


躊躇する事なく線路を渡り切ると、振り返って踏切りを見た。

理由なんて関係ない。
愛美を傷付け・・・たくさんの人達を、自殺に見せ掛けて殺した──
岸本は絶対に許せない!!

私は再び前を向き、病院に向かって走り出す。


目の前に病院が見えてくる。
私は病院の門で立ち止まると呼吸を整え、自 分自身に気合いを入れた。

「よし!!」

病院の玄関に向かって歩き出す。
岸本の自転車が、駐輪場に停まっている。

岸本はここにいる。