韻発動の鍵は、この時計のアラームだったのか・・・
「ふう」と私は大きく溜め息を吐いた。
事故の発生時刻が全て同じ様にキリが良い時刻だったので、アラーム機能を使っているのではないかと思っていたが・・・
こんな、手の込んだ場所に隠してあったなんて。
でも──
これで証拠は全てそろった。
犯人は岸本以外に有り得ない!!
見付かった時計を私に手渡し、店主は申し訳なさそうに言った。
「持ち主が分かるなら、その人に返してあげてくれないか?」
差し出された時計を受け取ると、一度軽く頭を下げて店を離れた。
岸本・・・なぜこんな事を?
とにかく、岸本を探さなければ。
今日は学校を休んでいたし、妹の病室か?
いや、まずは自宅に行ってみた方が良いだろう。
確か岸本の自宅は学校の少し先にある、新興住宅地だと聞いた事がある。多分、あの高級住宅団地の事だろう。
私は岸本の自宅に向かって歩き始めた。



