3段になった一番上の引き出しを外した奥に、黒い煙草箱サイズのプラスチック製の何かが、ガムテープで貼り付けてある。

私は机に肘まで突っ込むと、ガムテープごとその物体を取り出した。

「よし、取れた!!」


カチ、カチ、カチと規則的に聞こえる音。
これは、間違いなく時計だ。それも、市販の物ではなくイベント用の特別な時計・・・記念品?

私はその時計をガムテープから外すと、その針を動かす。すると、悲しいオルゴール調のメロディが時計から溢れ出した。

規定の時間になると、時報代わりにメロディが流れる様だ。


「おお、この曲は・・・」

私の背後で様子を見ていた店主の口から、予想通りの言葉が洩れた。

やはり、少し前から聞こえ始めた音は、この時計から聞こえてきていたのだ。