私はスマートフォンを操作し、その画面を店主に見せた。
「この男の子に、見覚えありませんか?」
店主は数秒岸本の画像を見た後、手の平をポンと叩いて言った。
「ああ、思い出した。
この子は少し前、表に投げてあるボロのオフィス用デスクを見せてくれと言った子だ。
高校生がなぜそんな物が欲しいのか、不思議に思ったから覚えているよ」
間違いない──
「それで・・・
この男の子は、その机を買ったんですか?」
「いや、当分眺めていたけど、結局買わなかったよ」
「それって、どの机ですか?」
「外の一番端のヤツだよ」
店主はそう言うと、線路側の一番端に置いてある机を指差した。
思った通りだ。だとすれば・・・
「すいませんが、私も見せて頂いても良いですか?」
店主は少し怪訝な表情をしたが、仕方なさそうに自由に見ても良いと言ってくれた。



