昼の休憩時間――

校内を踏切事故の噂が、飛び交っていた。

根拠も無い噂話。
いつもなら、一緒になって面白おかしく乗っかるところだ。しかし、現実にあの事故現場を3度も見てしまった私は、とてもそんな気にはなれなかった。


ぼんやりと、教室の窓からグラウンドで男子生徒が蹴っているサッカーボールを眺めていると、クラスの中心的な男子が教壇に立って演説を始めた。

「昨日と今朝の飛び込み自殺があった踏切りってな、呪いの踏切りって言われてるんだぜ!!」

「マジかよ長谷部!!何か嘘くせえなあ」

「マジ、マジ、大マジだ!!
10年以上前に、あの踏切りで事故に遭って死んだ女子高生がいてな・・・

たまに出て来て、同じ女子高生を引きずり込むらしいぞ!!」

「それ、マジ?」
「そんなの聞いたことねーぞ」
「それって、作り話なんじゃねえのか!?」


くだらない。
怨霊だの呪いだの、そんなもの存在するハズがない。心霊現象なんか、ただのトリックか勘違いとしか思えない。

それよりも、何者かの手による犯罪だと考える方が理屈に合っている。


もし、そんな事が可能ならばだけど・・・