でも、それだと・・・

私がその場に座ったままで考え込んでいると、兄が面倒臭そうに言った。

「そんなに気になるなら、三春駅前の古本屋に行ってみろよ」

「ああ、あのお婆さんがやってるお店?」

猜疑心一杯で聞き返すと、兄には私の気持ちが分かったらしく詳しく教えてくれた。


「お前は知らないだろうが、あの店主は漢詩で全国的に有名な人だ。日本人なのに、漢詩の先生として中国に招かれたくらいだからな」

「そ、そうなの?」

「そうだ。
だから受験の時に毎日の様に行っては、漢詩や古典について教えてもらってたんだ。

スゴい人だぞ!!」


なるほどね。
それで、あのお婆さんは兄の事をよく覚えていたんだ。毎日って・・・


その話を聞き終わると、私は立ち上がって自分の部屋に戻った。徐々に様々な事が1つになっていく様な気がする──