安楽死


田中は黙り込んで、視線を落とす。

私は今まで調べてきた事や、あのケータイ小説が原因で人が死んだ可能性が高い事を田中に説明した。


「そ、それ、本当の事なのか?」

動揺する田中に、私は小さく頷いた。今更、隠しても仕方ない。

「あ、ああ・・・そうなのか」

田中は大きく溜め息を吐いた。そして、状況を把握した田中が、ようやく私の知りたかった事を話し始めた――



「あの小説は、地元のSNSで知り合ったヤツに頼まれて書いているんだ。

″ページの最後にくる言葉は、この単語で終われ″とか″この言葉を、このページに入れろ″とか・・・

やたらと注文が多いんだが、5ページ更新する度にバイト料として3千円くれるんだ。だから、ケータイ小説を書いているんだよ」
      

何て事だ──

田中は長谷部と同じパターンで、何者かに雇われていたのだ。