「もう!!
何を言ってるのか意味が分からない!!」
私の怒声と剣幕に、田中は後ろにのけぞるほど驚いた。オロオロしながら聞き返す。
「ま、待てよ里川・・・
お前の言っている事の方が、もっと意味が分からないぞ。一体、何をそんなに熱くなってるんだ?」
その言葉に私は更にヒートアップし、握り締めた拳が小刻みに震えた。
「里川の言っている事の意味はよく分からないが、あのケータイ小説は確かに俺が書いた。
だが、別に俺が書いている事を隠す為に、本名と違う登録名にしている訳じゃないんだ。
ケータイ小説を書くなら女性の名前の方が良いって教えられ、たまたま目の前にいた高山から名前を借りて、AYUMIにしただけなんだ」
どういう事?
本名を隠すつもりが無かった?
私は更に混乱する。もう、入ってくる情報が多過ぎて、訳が分からない。
ま、まさか――
私は唾を飲み込むと、たった今、頭に浮かんだ事を確かめる。
「もしかして・・・
あのケータイ小説って、誰かに頼まれて書いているの?」



