安楽死


すると、田中から意外な言葉が返ってきた。

「そうだけど?」

「そう・・・だけど?」

田中はあっさりと、あのケータイ小説を書いている事を認めた。少しも悪びれた雰囲気も感じさせない。

一体どういうこと?

私は田中の態度に戸惑い、言葉に詰まって考え込んでしまった。


そんな私の様子を見て、今度は逆に田中が質問を投げ掛けてくる。

「なあ、よく理解出来てなかったけど、あの書籍化の話は嘘なのか?」

はあ・・・?
一体何を言っているんだろう。

田中が口にした言葉の意味が、今度は私に理解出来なかった。あれだけの人を殺しておきながら、その小説を平然と書籍化しようと言うの?


私が無言のまま睨み付けていると、頭を掻きながら田中が呟いた。

「まあでも、俺が全部書いた訳じゃないからなあ・・・」