また今日も、三春駅の手前で電車が停まった。窓の外を見ると黄色い看板。昨日とほとんど同じ場所だ。

しかし、車内の雰囲気は昨日とは全く違う。一瞬の沈黙の後、ほぼ全員の目に激しい動揺の色が浮かんでいた。

それはそうだ。
この時間帯に乗車している人は、ほぼ全員が通勤や通学に利用している。

つまり、昨日も乗っていたハズだからだ。
多分、ほぼ全員が同じ事を考えている。

「まさか、今日もなのか?」


乗客が落ち着きを取り戻した頃、車内にアナウンスが流れた。

〈・・・――三春駅付近の踏切りで、人身事故が発生しました。今暫くお待ち下さい――・・・〉


一度落ち着きを取り戻していた車内が、再び騒然とする。そして、周囲から同じ様な言葉が聞こえてくる。

「また・・・」

「まさか、また?」

「また、じゃないよな?」


愛美がスマートフォンの画面から目を放し、少し不安そうな表情で私の方を向く。

「まさか、また誰かが飛び込んだんじゃないよね?」