もう、間違いない。
田中が、あのケータイ小説【さよなら】の作者だ――!!
文章力は折り紙付き。それに田中は一番後ろの席だ。書こうと思えば、授業中にだって更新は可能だろう。
それに、あの視線を感じた公園・・・あそこは田中が通っている進学塾の前だ。
なるほど。
″AYUMI″というハンドルネームは、同じ塾に通う高山から拝借したに違いない。
念入りな偽装工作。
という事は、田中が犯人・・・?
田中を目の前にして、私の脳裏にはこれまでの事が浮かび過ぎ、消化する事が出来ずに混乱していく──
もし田中が犯人ならば、私が気付いる事を悟られてはならない。あのケータイ小説の韻にどんな催眠効果があるのか分からない今、余り接触しない方が良い。
私の心臓の鼓動は、周囲の人にも聞こえるくらいの激しさで打ち続けていた。
どうしよう・・・
とりあえず、この場を一体どう切り抜ければ良いのだろうか?
田中が私の様子を見て、怪訝そうな表情をする。
マ、マズイ――



