安楽死


電車を降りてホームの時計を見ると、12:40を表示していた。


私はホームにあるトイレに入り、鏡に向かって自分の姿を確認する。

「よし、これなら私とは誰にも分からない」


12:45――

私は改札を抜け、駅の構内に設置された一番目立たないベンチに座る。一番端にあるベンチは、駅構内もロータリーも一望できる場所にある。

周囲を見渡すが、まだ白い鞄を持った人物はいない。

私は人が通る度に注意深く手元を見るが、やはり誰も白い鞄を持っていなかった。


12:55を過ぎた頃、髪の長い女性が駅に向かって歩いて来た。

年齢は見た感じ20歳前後で、水商売系の派手なメイクに黒のタイトミニといった目立ち過ぎる程のスタイルだ。

「あ!!」

ブラブラと前後に揺らしている右手を見ると、ラメ入り白いのハンドバックを持っていた──