そして、ついに待ちに待った土曜日が訪れた。
2週間位の間だったけど、毎日が本当に長く感じた。

でも、今日で全てが終わる――


私は万一の事態に備え、普段は着る事がない黒いジャンパーにジーンズ。それに黒いキャップにサングラスを掛けて、三春駅に行く事にした。

準備も整い玄関でスニーカーを履いていると、兄がトントンと階段を下りてきた。

「おっ、デートか千里?
3年生なんだから勉強しろよ、勉強!!」

まったく脳天気なヤツ・・・
私がこんなに大変な事態になっているのに。

「ちょっと用事があるだけよ」

「んーそうか・・・そりゃそうだな、千里に彼氏なんてなあ。ハッハッハ!!」

こ、この男は!!


「まあ、出掛けるなら後にするか・・・」

「何よ?」

「いや、帰って来たら話してやるよ。
気を付けてな」

気になる話の切り方をするなあ・・・
でも、今はそれどころではない。早く三春駅に行かないと。


私は直ぐに家を出た。