翌朝――

いつもの様にホームセンターの前で愛美と合流して、並んで中山駅に向かった。通学中の2人の話題は、やはり昨日の連続人身事故の事だった。

「昨日の夕方の事故さあ、朝と同じ様に女子高生が電車に飛び込んだらしいよ」

駅のホームで、スマートフォンを操作しながら愛美が言った。

「・・・らしいね」

「うん。昨日、あの近所に住んでる子からメールが届いたんだよね」


女子高生が電車に飛び込んで自殺。自殺自体は珍しい話ではないが、同じ日に、同じ踏切りに飛び込むなんて・・・

そんな事が起こり得るものなのだろうか?


「千里、電車来たよお」

三春駅はこの中山駅から3つ目の駅で、だいたい20分程で到着する。

私達はいつも、この7:45の電車に乗ることにしている。これだとギリギリ遅刻せず、何とか教室に飛び込む事が出来るからだ。


「愛美、いつも飽きずにケータイ小説ばっかり読んでるけど、そんなに面白いの?」

愛美は今日もスマートフォンを握り締め、目を潤ませている。知らなければ、別れ話しのメールでも受け取っているみたいに見える。

「え・・・あ、うん。
このAYUMIって人のが泣けるのよ」


その時、突然ブレーキ音が響き電車が減速した。慣性により、進行方向に前のめりになる。

まさか──


「あ、あれ・・・
もしかして、また電車停まった?」