安楽死


教室に入ると、ちょうど5時間目の授業が終わった時だった。


戻ってきた私を見付け、皆が集まって来た。

「あ・・・いや、ちょっと足を滑らせただけだから・・・」


まだ誰が背中を押したのかも分からない。それに、変に騒ぎが大きくなると困るので、私は適当に誤魔化した。


「誰がやったの?」

皆がいなくなった時、頭の上から声がした。

見上げると、そこには心配そうな表情で高山が立っていた。


「分からない・・・」

「そう・・・
気を付けないと、貴女も他の人みたいに――」


「ふ・・・ははは!!
高山さん、貴女の事がやっと分かってきたわ。

大丈夫よ。ちゃんと気を付けるから」


高山は本当は心配性で、優しい人なんだ。

ただ、すごくシャイで、他人とどう接して良いのか分からないだけなんだ。


「そ、それなら良いわ・・・
もう、笑わなくても良いでしょ!!」
「あははは!!」


人は見掛けによらない。

そうだ。
本当に人は見掛けによらない――