安楽死


階段をひたすら下り、2階の病棟に着くと愛美の病室に向かった。


面会謝絶の札は外され、生命の危機が去った事を示していた。
私は安堵して、病室の扉をノックする。


コンコン

「こんにちは」

ベッドの横に座り、雑誌を読んでいたオバサンが顔を上げる。

「ああ、千里ちゃんいらっしゃい!」


「オバサン、愛美の具合はどうなんですか?」

険しかったオバサンの表情が、以前来た時よりも数段穏やかになっている。

「今は眠っているけど、意識はもう戻っているんだよ。

ただ、事故に遭った精神的なショックと、頭部への衝撃で記憶が混乱しててね」


「え・・・い、意識が戻ったんですか!!

あ、すいません。
大声を出してしま――」

私の目から大粒の涙がポロポロと、本当にポロポロとマンガの様に、溢れては床に落ちた。


オバサンも微笑みながら、目を真っ赤にしていた。


私は暫く愛美の側に座りオバサンと話をした後、晴れやかな気持ちで家路に着いた。