安楽死


私は5階に止まったエレベーターを放置し、ナースセンターの横で呟いた看護師に声を掛けた。


「岸本くんの妹さんて、そんなに具合が悪いんですか?」

看護師は一瞬余計な事を言ってしまったと表情を曇らせたが、直ぐに平静を装って答えた。

「いえ、大丈夫よ」


看護師は嘘が上手いとは言えず、その返事から逆なの状態なのだと想像できた。つまり、かなり悪いのだ。

「それで、あんなにいつも雰囲気が暗かったのか・・・」

私はそう呟きながら、岸本が消えた病棟の奥を眺めた。


キィ・・・

少し先の扉が開く音が廊下に響く。

私は慌ててエレベーターのすぐ先にある階段まで走ると、そのままの勢いで一気に駆け下りた。


「危ない危ない・・・」

私はそのまま階段を使い、愛美の元へと急いだ。