安楽死


病院に着くと、敷地の入口付近にある自転車置き場が目に入った。そこに、見た事のある自転車が停まっていた。

「あれは確か・・・」


病院の表玄関から入り左奥にある売店を見ると、買い物をする岸本の姿があった。

やはり、あれは岸本の自転車だったんだ。


という事は──
岸本の妹って、この病院に入院しているの?


私は無意識に岸本の後を追っていた。

急いでエレベーターまで行き、止まった階を確認する。そこは5階だった。

暫く時間を開け、5階まで上がってみる。


私は一体何をしているんだろう?

エレベーターを降り、ナースセンターの前でふと我に返った。


引き返そうとしてエレベーターの方に向いた時、突然背後から名前を呼ばれた。

「里川さん、ここで何をしているんだい?」


私はその声に、心臓が止まるかと思うほど驚いた。逃げる訳にもいかず、その場に立ち止まった。