私の自宅は、ホームセンターから5分程歩いた場所にある。10棟余りの住宅が建つ、小さな団地の一画だ。
元々は水田だったらしく、未だに周囲は農地が目立つ。夏はカエルの大合唱だ。
自宅の玄関前に立った瞬間、私が開けるよりも早くドアが開いた。
「おう千里、相変わらず遅いな。お前は頭悪いんだから、走って帰ってきて勉強しろよ!!」
「ふんっ」
「あ、痛て!!
お、お前・・・革靴で思い切り蹴る奴がいるか。足が折れたらどうするんだよ!!」
私の兄は大学3年生。なぜか兄は私と違い成績優秀で、隣りの市にある難関の公立大学に通っている。
自称福山雅治らしいが、まったく似ていない・・・
「ただいま」
リビングに入ると母が夕食を作る手を休め、珍しくテレビの前に座り込んでいる。食い入る様に見ているのは、地域ニュースのようだ。
「ああ、おかえり。
今日、同じ踏切りで2回も人身事故があったんだってね。両方とも、女子高生なんだってよ」
「それ、ホント?」



