「分かった」
私は高山からメモを受け取ると、そのままポケットに入れた。
「私も、そのケータイ小説を読んでるのよ。
美樹ちゃ・・・大場さんに、気分転換に良いからって勧められてね。
あ・・・あなたに、期待はしてないわよ」
高山は照れ臭そうにわざと悪態をつくと、自分の席に戻って行った。
高山は単に、人見知りが激しいだけなのかも知れないな。
放課後――
私は学校を出て三春駅前に着くと、周囲を確認してベンチに座った。
そして、ポケットに入れていたメモを開いて連絡先を確認した。
「夢文社 編集部橋詰・・・夢文社!?
大手の出版社じゃん!!
・・・さすが医者の友人だ」
でも、こんな大手の出版社に、偽のアポイント取りや出版交渉をしてもらえるのだろうか?
私は半信半疑のまま、メモに書いてある電話番号に連絡してみた。