「それにね・・・」

今まで淡々と話していた高山が、突然言葉に詰まった。


高山の様子をうかがうと、いつもの冷徹な表情が崩れ普通の女子高生の顔をしていた。私は少なからず驚いた。

高山はうっすらと涙を浮かべた顔を背け、更に話しを続けた。


「稲森さんは、私の小学生時代からの友達だったの・・・

一緒の大学に行こうって、約束していたのに・・・」

「え・・・幼馴染みなの?」


その時――

また、あの絡み付く様な視線を背後に感じた。

この背筋が凍る様な感覚は、あの時の視線に間違いない!!


私は勢い良く振り返り、道路の方向を見渡した――


しかし・・・
そこには、下校する生徒達が大勢歩いていた。とても誰がこちらを見ていたかなんて、とても特定など出来ない。


そんな周囲を警戒する私の事など気に掛けもせず、高山の話は続く──