安楽死


「あの女の子はね・・・三春中央高校を通り過ぎた先にあるマンションで、一人暮らしをしていたって話だよ」


え・・・?

それなら、なぜ踏切りにいたのだろうか。
全くの逆方向だと思うのだけど。


老婆の話には、まだ続きがあった。

「それが、あの日はたまたま仕事が終わった後で、友達の家に遊びに行く約束をしていたらしいよ。

その友達の家が、踏切りの向こう側にあったという話だったが・・・」

「─たまたま─通ったんですか?」

「そう、偶然ね。

たまたま、踏切りに差し掛かり・・・
たまたま、自殺衝動にかられた・・・
警察の見解は、そういう事のようだよ。

だけど、あれは――」

そこで老婆は口を閉ざし、それ以上話さなくなってしまった。


「よく分かりました。ありがとうございました」

私が深々と頭を下げると、老婆は哀しげな表情で微かに頷いた。



私は古本屋で聞いた話で、すっかり分からなくなってしまった。

あのOLが本当に偶然通り掛かった人だったとすると、特定の人物を狙った訳ではないという事になってしまう・・・


一体何がどうなっているんだろう?