店主の老婆は前回訪れた時と同様に、カウンターの中に背中を丸めて座っていた。
「いらっしゃい。
あら、あなたは確か・・・」
「あ、以前お伺いした里川の妹です」
老婆はポンと手を叩いて、一度大きく頷いた。
「おお、そうだったね。それで、今日は何の用事だい?」
「実は先日あった、この先で起きた踏切り事故についてなんですが・・・
事故に遭ったOLさんがどこ人か、ご存知ないかと思いまして」
私は祈る様な思いでたずねたが、老婆は本当にあっさりと答えた。
「ああ、知ってるよ」
「本当に!?私に教えて下さい!!」
私が勢い良く身を乗り出さしたため、老婆は後ろに倒れそうなほど身を引いた。
「ま、まあ落ち着きなさい。今から話してあげるから」
「あ・・・す、すいません」
老婆は元の位置に座り直すと、先日あの踏切りで亡くなったOLについて話してくれた。