小さくなる踏切りを見詰めていると、急に背筋が寒くなってきた。

これでまた、誰かが飛び込んでたりしたら――

いや、いくらなんでも同じ場所で、1日に何人も電車に飛び込むなんて有り得ないか・・・


その直後、踏切りは私の視界から消えた。


私と愛美は幼なじみで、小学校から今までずっと同じ学校に通っている。自宅も徒歩で10分程度の距離で、当然下車する駅も同じだ。

〈・・・――中山駅、中山駅です。お降りの方は――・・・〉

「愛美、なんで余裕で座ってるのよ。早く降りないと!!」

「あ、ヤバ!!」

熱中するのも良いけど、ちゃんと周囲の状況は把握していないと・・・


愛美は茶色い肩までの髪をクルクル巻き、スカートもかなり短くしている。決してそんな事はないのだけど、その外見から遊び人に見えるらしい。

「ねえ、一緒にカラオケでも行かねえ?」

「えー行かなーい」

という具合に、よくナンパされる。いつも一緒にいる私は、ぶっちゃけ、かなり迷惑している。


「自宅近くの駅前でナンパされてもねえ・・・」

「あんたの、そのチャラけた格好がいけないんじゃないの?」

「そうかなあ?
千里こそ、その中途半端な格好やめた方が良いんじゃないの」