「あの子は性格がキツイから、付き合い難いでしょ?」

「あ、いえ・・・」

「あの子の事は、生まれた頃から知っているんだよ。明るくて優しい子だったんだけどね・・・」


老婆は立ち止まり、クラスメートだと名乗った私に高山の事を語り始めた。

「あの子はね、可哀相な子なんだよ。

勉強をあんなに頑張ったのに、試験当日に熱を出して寝込んでね・・・
本当なら、三春学園高校に通ってたハズなのに。

それから、すっかり性格が変わってしまって――

あら、少しおしゃべりが過ぎたね・・・
まあ、仲良くしてあげてね」


そこまで話すと、老婆はゆっくりと背を向けた。私はその背中に、もう一度声を掛ける。

「なぜ受験生が、前日に風邪なんかひいたんですか?」

老婆は左手でコンビニを指差すと、少し声のトーンを落とした。

「あの店のオープンがちょうどその時期でね、人手が足りないから手伝わされたんだよ。

それも、店の外でやるイベントの手伝いにね」


老婆はそれ以上は何も言わず、高山医院に入って行った。