安楽死


「よし――!!」

自分自身に気合いを入れると、私は勢い良く立ち上がった。


そしてその勢いで駅を出て、迷わず左に進路をとる。そう、あの踏切りに向かう。


逃げていては何も始まらない。それに電車さえ通らなければ何の問題もないハズだ。

次の電車まであと20分もあるし、十分それまでに踏切りを渡る事が出来る。


私は念のために、走って踏切りに向かった。



踏切りから30メートル程出前で一度立ち止まり、線路の左右を確認する。

「大丈夫、電車は来ていない」

私はその位置から、全力疾走で一気に踏切りを駆け抜けた。



何も起こらない――


「ふう・・・」

私は大きく安堵のため息を吐くと、そこからは歩いて大場さんの自宅であるコンビニに向かった。


黄色い中央線がある細い県道沿いに、昔ながらの街並が続く。狭い歩道は既に老朽化が進み、あちこちアスファルトが窪んでいる。

その歩道を歩いて行くと、右側にコンビニの看板が見えた。


「あれだ!!」