私達は仕方なく、駅のホームに停車している電車の中で発車を待つ事にした。
「千里、あんたもケータイ小説を読めば?
時間潰れるよ」
「ええ~・・・うーん」
私はスマートフォンの小さな画面で、文字を読む事が好きではない。だから、メールでさえ余りしない。
そもそも、小説なら本を読めば良いと思う。どうして小さな画面で、わざわざ小説を読むのか私には全く理解出来ない。
私の思いとは裏腹に、愛美は朝と同じ様にスマートフォンを握り締めて号泣している。
ガクンと電車が揺れる。
停車していた電車に乗り1時間余りが過ぎた頃、大きな振動があり電車がようやく駅を出発した。
「ふう・・・やっと動いたね」
ため息混じりに声を掛けても、愛美は画面に釘付けでまるで聞いていない。まったく・・・
三春駅を出発し、電車が徐々にスピードを増していく。そして電車は、今朝隣りのクラスの女子生徒が飛び込んだ踏切りを通過する。
あ――!!
数台のパトカーが、今朝と全く同じ場所に停まっている。赤色灯は周囲を真っ赤に染めていた。
ま、まさか・・・同じ場所なの?



