私が來くんを凝視しているのに気づいたらしい海斗は、 「さい、学校遅刻する。行くよ」 と言って私の手を引っ張って歩きだす。 「あ、また來くん、またあとでねーっ!」 私は海斗に引きずられながら、私の家の前で立ち止まっている來くんに声をかけた。 すると來くんはにこりと笑って、 「あとでねーっ」 と返してくれた。 「…ムカつくんだけど」 とぼそりと言った海斗の言葉を、私は聞き逃した。