毎日毎日…馬鹿みたいに化粧した女どもが影であたしの愚痴を言う。

いつも声がでかい。

その所為(せい)で愚痴の対象であるあたしにも丸聞え。



けれど
 
馬鹿だから、仕方ないとあたしは思う。





―ねぇ見て。榊(さかき)さん。

―うっわ、また来てんの…。

―てか怖すぎ。

―うんうん。

―でもやっぱり、"狼"の方が怖いよね。

―でもさー"狼"っていなくなったし♪



 

最後の一言にピクっと体が反応する。

馬鹿なのに、そういうことには敏感な女ども。

 

でも、たかが噂から取り入れてるにすぎない。


卑怯な手を使い、ただ聞いたことをそのまま自分が知ってるような口ぶり。



てめーらに何が分かる?

てめーらは何を見てきた?


ただただ流れた噂ばっかじゃん。