先生は私の言葉を聞くと、その綺麗な顔にニコッと微笑みを浮かべた。 「その様子だと何も分かってないようだね。 授業、始ってるんだけど?」 そう言われて腕時計を見ると、もう午後の授業が始まっている時間だった。 (――ヤバい。) 私は隣にいる彼にそう目配せをした。 「すみません、気が付きませんでした……」 「さあほら、早く教室に戻って。 武蔵原先生、心配してると思うから。」 ここで彼が、先生の前で初めて口を開いた。 「先生は戻らなくて良いんスか?」