泡沫-an empty dream-

「分かってんだろ?  あいつのことだよ…」



そう言うと、彼は体を支えていた右手を離し、左腕だけで上半身を支えると、いかにも疲れたような表情で「やれやれだぜ」と呟いた。



しかし私には彼の言う“あいつ”が誰だか分らなかった。


「あいつって?」



「あいつだよあいつ。
俺はそんな気まるでないって言ってんのに、いつまでも追いかけてくる―――」




嫌な予感がした。
まさか、私のことじゃない、よね?




「それってもしかして、君の恋人の長崎怜子さんのことじゃ……」




不安を隠しきれず、心配ながらも彼に聞いてみた。