僅かに顔が動くのを感じてすぐ近くで拓斗の優しい声が届く。

一度握ったけれど、すぐに拓斗が着ているのが制服だと言うことを思い出し離した手。


そんな些細な事も感じ取って、そしてわたしが思った事まで理解してくれる拓斗に、


また胸が苦しくなった。



「泣く時位変な所を気にすんな」


……握っていいよ、と言われても。

やっぱり気にして指の腹を押し付けるように抱き付いているとふー、と鼻から息を吐き出し拓斗が言う。








その言葉に、わたしは気にしないようにギュッと制服を握り締めた。


―――ゆっくりと何度も行き来し頭を撫でられる。

「……時雨」


一通り泣き終わった後。

ずっと同じ場所に顔を埋めて泣いていた為、その部分だけ濡れてわたしが顔を埋める場所を少し移動させた時。