わたしも聞いた、そのフレーズ。 やっぱり拓斗は、未だに覚えてくれていたんだ。 忘れていいのに。 忘れて欲しいのに。 「忘れるつもりも無いし俺は約束を守る……だから佐奈子とは別れる」 ほら。 拓斗はその選択をするでしょう? わたしにそんな価値、無いのに。 だからわたしはあなたの前に姿を見せたく無かった。 そんな軽い頼みを重く感じてほしくなかった。 拓斗の人生を縛りたくない。 「じゃあっ!何で約束を守るなんて言いながら佐奈子さんと付き合ったの!?」