「駄目だってば!佐奈子さんが……」
「佐奈子は関係ない」
「関係ないわけないじゃん!彼女でしょっ?彼女がいるのにどうしてこんな事」
「黙って」
さっきまで首に触れていたものが唇と重なった。
手は塞がれてる、
体は押さえ付けられてる。
無駄だと分かっていても抵抗を止める事は出来ない。
手が自由にならないから、顔を左右に振って重なり合った唇を外そうと試みるけれど、
その唇も上からの拓斗の重圧でどうする事も出来なかった。
何度も角度を変えて降ってくる。
「……何が、彼女いるでしょ、だ」
ふ、と離れた唇と同じように離れていった拓斗。
空気が動いた。
解放された腕や体は、
まだ拘束されているような感覚が残る。
わたしは起き上がって歪んでしまったスーツを整える。



