「―――入って」
ドアを開けてくれた拓斗を見た後、
玄関へと踏み入れる。
今の拓斗の家らしいワンルームのアパート。
「実家から出たんだ」
拓斗の実家とわたしの実家はすぐ近くのご近所さん。
通りを過ぎて拓斗の実家に連れていかれる……と思ったのに、
実際に連れてこられたのはこのアパートだった。
「まぁ、今でも良く実家に居るけど。親が煩いし」
「ここから近いもんね」
このアパートも拓斗やわたしの実家から徒歩ですぐに来れる場所。
4階建てのアパートの3階で、狭そうなイメージがあった外観とは違い中はパッと見ただけで広いって思った。
後ろから入ってくる拓斗に押されるように靴を脱いで上がる。
「お邪魔します……」
すぐ前の部屋にはベットとローテーブル、テレビ。



