斜め後ろから拓斗の運転を眺める形だけど……
普通に無表情で車を運転している拓斗を見て、わたしがこの町から出ていった3年間の長さを実感する。
3年前のわたしからしたら、拓斗の運転する車に乗るなんて想像出来なかったと思う。
こうして、車を運転している姿を見ることも無かったはずなのに。
身長も体型も、あの頃と変わっていないのに大人になってると思ってしまうのは拓斗の顔付き、
雰囲気があの頃よりも落ち着いているからかな。
スーツも着てるし。
……昔から周りの人よりは落ち着いていたけれど。
周りと一緒に楽しい時は盛り上がって、
無邪気に笑っていたずらなんかも……する人だった。
……そっか。
その、無邪気な笑顔を見てないんだ。
―――拓斗の運転に見とれていて、窓の外の景色を見て気付いた。
「拓斗!実家、通り過ぎてる!」
少し前の道を右に曲がらないといけないのに。
拓斗は無表情でアクセルを踏み続ける。
わたしの家への道を拓斗が間違える訳がない。
これは、故意に通り過ぎてる。
「拓斗っ、……も、ここで良いから止めて」
「煩い」



