「会いたかったって、わたしに?」


拓斗、わたしのことも彼女に話してるんだ。


「はい」


「ありがとうございます……」



会いたいと思う程の人間じゃ無いんだけどな、わたし。



「時雨、」

「さ、どうぞ拝んで下さい」


道を明けて墓前の方へと促す。

すみません、と軽く頭を下げて行く佐奈子さん。

「……拓斗?拝まないの?」


先に歩きだした佐奈子さんが立ち尽くしたままの拓斗を気にして声をかける。

「あぁ」


何か言いたそうな顔をしていたけれど、

佐奈子さんの後ろを歩いて墓石の前でしゃがみこんだ。


手を合わせて目を閉じる二人の背中を眺める。