その左手、 薬指に私との婚約指輪がはめられていない事に気付いて私は何とも言えない想いに沈んでいった。 墓地へと着いて、 階段を上っていく拓斗の後ろを黙って付いていく。 どこにあるんだろう、 だんだん高くなっていく位置から辺りの景色を見た時。 前を歩いていた拓斗が、 急に立ち止まって私もすぐに足を止めた。 ここ? なんて、思えば。 「……時雨!」 驚いたような、嬉しいようなそんな拓斗の声音。