「あぁ……成る程ね」
それだけで事情を知っている秀君は理解したみたいで、
ちゃかす表情が消えた。
……今でも全て拓斗の生活の中心は時雨さんだから。
時雨さんが、いつ帰ってくるか分からないから一人暮らししてるのに毎日実家に帰ってた。
一人の家の方にはいつ帰ってるのってくらい。
「そろそろ行くか」
秀君も最初は拓斗と時雨さんがお似合いって言っていたくらいだから、
私と拓斗が付き合うことになった時はどこか納得できていない表情をしてた。
でも、だんだんと認めてくれたみたいだったのに。
拓斗の彼女は私。
拓斗の隣は私、が定着してきていたのに……。
時雨さんの名前を出さなくても、察して、そして懐かしむような表情をする。
何年経っても、色褪せてくれないのを、こういう時に感じる。
……秀君が黙り込んだ所で、拓斗は私を見下しながら帰る事を促す。
この、上からの私を見つめる表情。
こういうのを見ると、幸せな気持ちになれる。
「じゃあね、秀君」
「……ばいばい」
「レポート提出期限、後3日だから」
「分かってるよ。それまでには纏める」
良いなぁ、俺も買い物行きたい、なんて拗ねる秀君をクスクス笑いつつ、私達は大学を後にした。



