だけど、見つかることもなくて。
付き合ったばかりの時は、もしかしたら見つかるかもしれない。
時雨さんの居場所が分かって
拓斗君が迎えに行くかもしれないとヒヤヒヤしていたけれど。
今ではこれだけ探しても見つからないんだから。
もう見つからないだろうと時雨さんが見つかってしまうことに不安を感じることも無くなった。
何年も経って、拓斗も最初の頃はやっぱり壁があったように感じたけれど、
今では少しずつ距離も近づいてきたように感じる。
普通の、仲の良いカップルくらいには。
「そうだね、就活しなきゃ」
3月のまだ肌寒い今日。
カフェテリアでコーヒーを飲みながら呟いた秀君に私はレポートに目を通しながら返した。
来年の今頃どうなってるんだろう。
先の事を考えると不安になる。
思うのは拓斗と私の関係。
大学も卒業するし、私としてはもういい加減時雨さん探しは止めて私だけを見てほしい。
見つからない人を必死になって探し続ける拓斗君に目を瞑って何年も経った。
そろそろ良いよね……?
「―――佐奈子」
上から落ちてくる柔らかさを帯びた大好きな人の声。
その声が私の名前を呼んで、笑顔で上を見上げれば私と秀君を見る……拓斗。
「話聞けた?」
「あぁ。褒めてもらえた」
「もうレポート見せに行ったんだって?仕事早いなー……」
秀君はもう一つ買っていたコーヒーを拓斗に渡す。



