だから、思ったの。
時雨さんに似たら、私を見てくれるんじゃないかって。
今は私を通して時雨さんを見ていても良い、思い浮べても構わない。
それでも私を見てくれるなら。
その内絶対私だけ見て貰うから。
……きっともう私を通して拓斗君は時雨さんを思い浮べてるよね。
その表情が、苦しそうだもん。
―――今日だってそう。
体調不良だと言ってずっと大学を休んでいる私が
高校時代、両親を亡くした直後に塞ぎ込んでいた時雨さんに似てるから。
それを思い返して思わず来てくれたんじゃないかな。
……それでも良い。
私を、見てよ。
「ねぇ、拓斗君」
真っ直ぐに拓斗君の瞳に声をかける。
拓斗君は私では無い物を見ていた所から戻ってきて、微かに瞳が揺れた。
「時雨さんが今でも、これからも大事だって事は分かってるよ。
でもそれは思い出、にする事は出来ないかな……?
私には、今拓斗君が必要なの。
今時雨さんに出来ない事を、私にしてよ。
どこにいるか分からない手の届かない時雨さんじゃなくて、すぐそばにいる私に……」



