「もう二度と此処には戻って来ないよ!」
「……松石」
最後、声を荒げた私に拓斗君はやっと顔を上げて冷たく私の名を呼んでキッと私を見た。
その表情で怒ってる事なんて分かる。
だけど私も、ここは引けない。
そんな考え方止めなよ。
去っていった人の事をいつまでも気遣う必要なんて無いよ。
「松石は知らないだろ、時雨の事」
知らない癖に、首を突っ込んで言ってるなんて分かってる。
だけど、ここで私が言わないと、
拓斗君はずっと苦しんだままでしょう?
「時雨は、人の事を思って黙って行動するんだ。絶対に今でも、両親への罪悪感に苦しんでる」
私に説得するように、優しく告げられる。
「俺が約束を守る、なんて言ったからまた申し訳なく思ったんだろ……俺が知らない間に時雨を追い詰めてたんだ」
膝の上に肘を付き、両手を握る拓斗君。
ほら、また。
あなたは自分を責める。
「俺がしっかりしてなかったから、頼りなかったから時雨も離れていったんだ。だから、時雨位支えられる人間にならないと……」
だから、だね。
秀君が言っていた、大学に入ってから拓斗君が変わってしまった理由。
しっかりした人間にならないとって落ち着いて笑わなくてヘラヘラしなくて。



