少し上ずった声でなんとか自己紹介を終えると優しい笑顔で拍手され、マイクは次の人へ。


ホッと小さく息を吐いて残りの人の自己紹介に耳を傾ける。


たまにチラチラと拓斗君の方を見れば、興味が無いと言うような顔をしていたけれど自己紹介が終わる度にしっかり拍手をしていた。



全員自己紹介が終わり勝手に歌を入れたり注文したりし出して賑やかになる室内。


なんだろう、一目惚れかも。


私は拓斗君の事が気になって、

ちょくちょく盗み見しながら運ばれてきたジュースに口を付ける。

拓斗君は曲を選択する機械を回されるのを拒否して


ジュースを飲みながらメニュー表に視線を落として歌う気は無いみたい。





他の女子メンバーも、さっきの自己紹介でノリが悪い人だと認識したのか


誰も拓斗君に話し掛けようとしなかった。


話し掛けるな、壁を作ってるような、そんなオーラを出してる。


でも、知りたい。


せっかくこれから同じ学科で勉強していくんだもん。


拓斗くんのこと、知りたい。これは……私が行くしかないよね。


隣だし。