――ずっと隣で笑ってろ――
これからは、拓斗の隣に、近くにいれないから。
最後くらいは、笑ってさよならしたい。
「あぁ」
拓斗は気にせずフッて笑ってまた人混みの中に入っていく。
「……良かったの?あの子、きっと悔やむわ。今の別れ方」
じっと見ていたらしい拓斗のお母さんに、肩に手を置かれた。
悔やむ……よね。
ごめんね。
でも、こうするしか無かった。
「良いんです。……帰りましょうか」
叔父さん、叔母さん、そして拓斗のお母さん達と歩く。
まだ敷地内から騒ぐ生徒の声が聞こえて、少し名残惜しかった。
―――さよならだよ、拓斗。
貴方がカラオケから家に帰ってきた時。
わたしはもう、ここには居ない。
拓斗の家に行き、荷物を全て持って玄関へ。
拓斗から預かった卒業証書と紙袋、
そして花瓶に生けた花束を机の上に置いた。



