今、棗に会わないと!



必死に、必死に、走って棗の家に着いた



チャイムを鳴らすと、棗のおばさんが出てきた



「あら、花音ちゃん。お久しぶりね」



「はぁ―…はぁ―…。棗は…帰って来てますか?」



走ったせいで息が荒れる



「棗?棗なら朝、出掛けたっきり帰ってきてないわよ。」



まだ帰ってきてない……



「ありがとうございました」



それだけ言って棗の家を出た


その時



――ピリリリッ



震えだした携帯




ディスプレイを見てすぐに、通話ボタンを押す



「棗っ」



「はぁ―…花音、今どこ?」



棗も走っているのか、声が荒れて途切れている



「棗の家の前…。棗は!?」


「駅前。とにかくそこ行くから待ってろ!!」