横で棗も首を横に振った そして 「お袋。親父は?」 そう言った棗 「お父さんなら、書斎にいるわ」 「そっか。」 書斎の方向に歩いていく棗 それをあたしは追いかけた 書斎のドアの前に着くと、緊張で身体が震える そんなあたしの手を棗はただ、黙って握りしめた ――トントン 「はい。」 「俺だけど」 「………入りなさい」 そう聞こえた後、ゆっくりとドアを開けた