『俺は!そんな伊沢の名前なんていらねぇ!!』



必死に走って探し当てた棗たちのいる部屋



勝手に入ったことがバレたら絶対に怒られる…



そんなびくびくしながらも棗に会いたくて、やっと見つけた部屋



棗の声が聞こえ、ふすまに手をかけた瞬間に棗の鋭い声が聞こえた


えっ……



今の、どう言う意味……?


ただ呆然として立っていると…


――バンッ


力任せに開けられたふすま



その音に体がビクッと跳ねた


小さな声で「花音……」と呼ぶ棗



「棗…、今のどういう…」



――グイッ


いきなり腕を引っ張られ、どんどん歩いていく棗


料亭の人や棗の両親が見てる中なのに、それを気にしないでさらにどんどん引っ張られた



「ちょっと!棗?!」



「………」



何も言わずに引っ張られたまま、ついに料亭の外に出てしまった




それでもずっと前を向いたまま早歩きで進んでいった


「はぁ―…、はぁ―…」


やっと止まってくれた棗



「あっ、悪い―…」


「うぅん」




さっきの棗の言葉が気になる……