突然別れようって言ったことも………


辛そうに笑っていたことも……



すべてに納得がいく―……





「なんで…、なんで!花音にあんなことさせたんだよ!この見合いのためか?!」


こんな見合いのためか…?



「花音ちゃんは伊沢グループの結婚相手として相応しくないんだ!だから……」



相応しくない……?


「相応しいってなんだよっ!」



「棗!とにかく今は落ち着け。真田さんの前だ」



「そんなの今、関係ねぇんだよ!」



「っっ!棗っ!お前は将来伊沢グループの御曹司なんだぞ!そんなことを言って…!」


伊沢グループ……



「………んなよ」


「ん?」




「ざけんなよっ!俺は伊沢グループの御曹司でしかないのかよッ!俺は俺だ!伊沢グループの御曹司としてばかりで見るなっ!!」




一気に言った言葉に怒りも重なり息が荒れる



「…………そんな…、そんな伊沢ならいらない…」



「棗……?」




「俺は!そんな伊沢の名前なんていらねぇ!!」



――バンッ


怒りをぶつけるように、部屋のふすまを勢いよく開けた



しかし、開けたふすまの前に居た人物を見たとたん、体が動かなくなった



なんで……


なんで居るんだよ…



「……花音」